最終更新日:2024/09/09
Claude(クロード)は、アメリカのAIスタートアップ企業「Anthropic」が開発した最先端の生成AIモデルです。「ChatGPT」やGoogle社の「Bard」と同じように、対話型のインターフェースで質疑応答ができます。2024年3月にはマルチモーダル搭載の最新モデル「Claude3」が発表され、世界中で話題を集めています。
本記事では、Claudeの概要から注目される背景、活用例などについて詳しく解説します。最新版「Claude3」の特徴や料金プランもお伝えしますので、生成AIサービスを自社で導入、運用するためにぜひお役立てください。
Claude(クロード)とは?
Claude(クロード)は、アメリカのスタートアップ企業「Anthropic(アンソロピック)」によって開発され、2023年3月に一般公開されたAIチャットモデルです。LLM(大規模言語モデル)である「claude.ai」を介して、自然言語の対話ができます。
OpenAI社の「ChatGPT」やGoogle社の「Bard」といった他のAIチャットと同様に、質疑応答や文章生成、長文の要約、翻訳、プログラミングコード生成といった作業に対応しています。
現在、Claudeは登録してすぐに使える無料版の他に、有償版「Claude Pro」が提供されています。日本のユーザーは月額20ドルで契約でき、最新モデル「Claude3」を利用可能です。
Claudeを開発したスタートアップ「Anthropic(アンソロピック)」とは
Claudeの開発企業である「Anthropic(アンソロピック)」は、OpenAI社に所属していた元社員が2021年に立ち上げた企業です。GPT-2、GPT-3といったモデルの開発メンバーが、同社のやり方に異を唱え、退社後に設立しました。
Anthropicは、AI業界でも稀に見る資金調達を達成していることでも話題を集めています。2023年5月に、GoogleやSalesforceなどから合計4億5千万ドル(約620億円)を調達し、その後アジアの通信会社2社から約1億ドル、Amazonから40億ドル、そしてGoogleからは追加で20億ドルを獲得しました。1年の間に73億ドルという巨額の投資資金を得ることに成功しています。
短期間にこれだけの巨額資金を調達している実績を見ても、多くの有名企業がAnthropicの将来性に投資価値を見出していることがわかります。
Claudeが注目を集める理由
ClaudeがAI業界を中心に注目を集めている理由としては、性能とコストのバランスや、API提供による使い勝手の良さが挙げられます。ここでは、Claudeの主な特徴について見ていきましょう。
GPT-4並のパフォーマンスを低コストで実現
Claudeの特徴として、リーズナブルな価格設定で高いパフォーマンスを発揮するAIモデルを利用できる点が挙げられます。Claudeの初代モデル「Claude Instant」や次の「Claude2」などでは、GPT-4に近い性能を、比較的安い価格で利用することが可能です。
また、ChatGPTなど他のモデルでは対応できない膨大な文章量でも、スムーズに処理ができるため、業務効率化を図る企業での活躍が期待されています。
APIで連携が可能
ClaudeのAPIを利用して、外部アプリケーションにClaudeの機能を組み込むことが可能です。Webブラウザの検索情報やデータベース内の情報に基づく回答の生成や、外部サービスを介した高度な推論が実現します。
また、Claude3を使ったプロジェクト開発や導入など、幅広い用途での応用に対応できる能力を備えています。なお、Claude APIを使用するには、法人組織向けのアカウントを登録し、APIキーを作成する必要があります。
日本語に対応している
Claudeは、日本語を含めた多言語に対応しています。2023年10月より提供されている「Claude2」モデルでは、日本語を含む95ヶ国語に対応可能です。
また、2024年3月に発表された最新の「Claude 3」モデルは、現在159ヶ国で一般提供されており、日本語プロンプトにも対応しています。
Claudeの使い方・活用例
生成AIモデルの中でも高い性能を示しているClaudeは、従来のモデルの使用範囲を越えた用途やシーンでの活躍が期待されます。ここでは、Claudeの主な活用例について紹介します。
自然な会話による質疑応答
Claudeでは、自然言語によるやり取りだけでなく、人間の感情やニュアンスに配慮した表現を実現しています。過去の生成AIに見られたような論理的な回答から、人間の言い回しにより近い表現が得られるように配慮されています。
また、Claudeを使って人間のような会話が成立するだけでなく、会話の中で特定の役割を担うことができます。事前情報として役割に関する詳細を提供することで、適切かつ自然な会話を返答します。
膨大な長文の要約
Claudeでは、入力トークン数が多いため、膨大な量の文章や長文データのスムーズな処理が可能です。Claude2モデル以降、最大10万トークンまで対応できるようになっており、長文の生成や編集、要約、翻訳も短時間で完了します。
Claude3の「Sonnet」モデルは、最大20万トークン、最上位の「Opus」モデルだと最大30万トークンまでの入力を受け付けています。また、PDFファイルの読み込みも可能で、研究論文のファイルや会議用資料をアップロードして要点を整理する、といった用途でも使えます。
Pythonコードの自動生成
Claudeでは、Pythonなどのプログラミングコードの自動生成も短時間で完了できます。Anthropicの公式サイトで公開されているベンチマークでは、コーディングにおけるGPT-4のスコアは67%であるのに対し、Claude3のOpusモデルは84.9%と高い数値を打ち出しています。
高精度なコーディングにClaudeを用いることで、生産性の向上につながります。
Slack連携によるワークフロー構築
Claudeは、Slack連携に対応しています。Slackの社内ワークフローにClaudeを導入して、社内FAQ用のチャットボットや会議の議事録作成、資料要約などさまざまな業務支援を実行することが可能です。
また、DMメッセージを使って、1人ひとりの課題に対して個別サポートを導入するといった使い方もできるでしょう。
Claude2(クロード2)の特徴
Claude2(クロード2)は、2023年7月に発表されたモデルです。当初はアメリカとイギリスでのみ利用登録が可能でしたが、2023年10月には日本からも利用できています。
Claude2では、前モデルのClaude1.3(クロード1.3)に比べて数学や推論、コーディングといった各領域で高性能を発揮でき、ファイル読み込みもスムーズかつ正確であることが確認されています。
Claude2の料金プラン
Claude2では、無料版と有料版の2つの料金プランが選べます。無料版は、Claude2の公式サイトまたは、以下サービスで利用可能です。
- Poe
- Slack
- Vercel AI Playground
有料版は、月額20ドルの「Claude Pro」の登録が必要です。もしくは、「Perplexity Pro」「Amazon Bedrock」などでも提供されています。
なお、Claude2ではプランによって制限がある点に注意しましょう。PoeでClaude2の無料版を利用する場合、1日あたり30回の上限が設定されています。有料版は無料版より容量が多く、自由度が増しますが、それでも作業量の制限はあります。
Claude2とChatGPTとの比較
Claude2とChatGPTとでは、容量やできる機能などに違いが見られます。2023年10月時点で、Claude2では最大10万トークンの読み込みに対応している一方で、ChatGPT(GPT3.5)は4,097トークン、GPT4でも32,768トークンまでです。
また、Claude2はデフォルトでPDFなど複数ファイルのアップロードが可能ですが、ChatGPTではプラグインなどを使う必要があります。
さらに、出力内容の有害性について、ChatGPTに比べて安全な回答を作成する能力が2倍優れているとされ、LLMモデルの課題であるハルシネーションへの対策が進んでいることがわかります。
Claude2.1(クロード2.1)の特徴
Claude2の次に登場したのが、2023年11発表の「Claude2.1(クロード2.1)」です。最大入力トークンが、前モデルの最大10万から倍の20万トークンまでアップしており、長文や複雑なストーリーの理解や読み取りをより正確に実行できます。
また、ハルシネーションの発生頻度が前モデルの半分程度まで抑えられ、同時に信頼性の低い回答を取り下げる頻度も2倍に増えています。
公式サイトで公開されているデータによると、7万トークンと19.5万トークンの文章をそれぞれ入力した場合、Claude2.1ではClaude2.0の倍の精度が出ることがわかっています。
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